2018年9月28日金曜日

“どアホノミクス”と425兆円超

「どアホノミクスの正体」(佐高信、浜矩子:講談社+α新書)を読んだ。
この本は、経済評論家の佐高信氏と同志社大学大学院ビジネス研究科教授、エコノミストの浜矩子氏の対談として出版されたもの。内容は、安倍政権の政策の分析から、アメリカにおけるトランプ政権の成立とその本質、経済活動や通貨、マルクスの「資本論」と現代、「反格差」「反貧困」、安倍晋三の目論見、アベノミクスとどう対峙するかはなど多岐にわたる対談である。
この本では多くの示唆を受けた。
特に、国内におけるアベノミクスについて「アホノミクスは戦争国家をつくる政策である」と分析し、その具体的な「三本の矢」政策が必ずしも成功していないが、それでも「GDPを600兆円にまで増やす目標」は「国防費を増や」し「軍事化」を狙うもので、そのために、“通貨の番人”である中央銀行・日銀の性格まで捻じ曲げている実態、その結果、日銀の国債保有率は、41.14%にまで膨れ上がり増え続けている。



これは、国の借金を、国が日銀に命じて(のために政府の意に従順な総裁を据え)、お札をどんどん増刷し、国債を引き受けさせ、その結果、金融政策との辻褄が合わなくなっているのに、何が何でもGDP600兆円の目標の達成をと突き進んでいる。
なるほど、自分で勝手にお札を印刷して、それを、政府が勝手に使うという何でもありの仕組なんだ。こんな、まやかしがまかり通っているのか。
そんな思いで、この本を読んでいると、財務省が、2017年度の法人企業統計によると大企業(資本金10億円以上)の内部留保が425兆8000億円超と発表した。しかも、2016年より22兆4000億円も増えている。
アベノミクスでは、トリクルダウン(大企業の富が中小企業、ひいては従業員に滴り落ちる)としてきた。
しかし、大企業は、国の一般会計予算97兆7000億円(平成30年度)の22%を超える内部留保を増やし、4倍以上もため込んでいる一方で、従業員の賃金は、2016年度に比較すると、年間54000円の減額になっている。
従業員には、トリクルダウンどころか、マイナスである。

なるほど、これも”どアホノミクス”がいう、ごまかしの一面か。

この国の仕組は、ますます逆立ちした構造になっている。