2024年5月11日土曜日

少子化と消滅可能性自治体?

人口戦略会議」(議長・三村明夫日本製鉄名誉会長)が、社会保障・人口問題研究所が試算した日本の地域別将来推計人口に基づく消滅可能性自治体が「744 自治体である」と公表した。

 これによると 2020 年から 2050 年までの 30 年間に、若年女性人口(20歳から 39歳)が 50 %以上減少する自治体を消滅可能性自治体としている。

 この「若年女性人口」の減少率をもとにした分析として、①自立持続可能性自治体(減少率 20%未満)が 65 自治体 ②ブラックホール型自治体(減少率 50%未満だが、他地域からの流入を除くと減少率が 50%以上)が 25 自治体 ③消滅可能性自治体(減少率が 50%以上)が 744 自治体としたものである。

 一方、総務省は、5月 5日のこどもの日を前に、人口推計から算出した子どもの数( 15歳未満の男女の数)が、前年より 33 万人少ない 1401 万人と、43年連続で減少し、総人口に占める比率は 0.2 ポイント低下の 11.3 %で過去最低となったと発表した。

 この子どもの数の減少の実態を見て、先の公表から、「このままだとわが町は、消滅可能性自治体になるのでは・・」と心配する声も聞こえてきそうだが、本当にそうだろうか。

 公表された消滅可能性自治体は、「若年女性人口(20歳から 39歳)」の減少率を根拠とし、合計特殊出生率(15歳から 49歳までの女性が、その年次の年齢別出生率で一生の間に子供を生むと推計した数)から推計し、あたかも「女性が子どもを産まなくなったことが原因」であるかのように分析している。

 この「女性が子どもを産まなくなった」ことが、日本の人口が減少し、地方が衰退している原因とすることに違和感がある。

 各自治体では、地域活性化のために、様々な施策を実施し努力を続けている。

「若い女性が減っているから、自治体が消滅する」とする問題の立て方ではなく、女性も男性にとっても安心して子どもを産み育てられる施策など、国の方針として根本的な対策を講じることこそ、これらの自治体の努力を無駄にせず、活かしていける方策だと思う。

 年内には、総選挙が実施される。しっかりと見極めることが大事だと思う。